株式会社ユーディージャパン

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気づきと可能性を広げるユニバーサルキャンプ
(第2回国際ユニヴァーサルデザイン会議2006 in 京都 発表論文)

1.序論

 障害者雇用率未達成企業が、東京都の企業で8,000社を超え“皆で渡れば怖くない”状態になっている現状にがく然としたのは、2004年の夏のこと。遡って、1993年国連の「障害者の機会平等化基準規則」が制定され、同年、日本でもようやく大幅に改正された「障害者基本法」が施行された。そして1995年「ノーマライゼーション7カ年戦略」が打ち出され、交通バリアフリー法が施行されるなど、社会が大きくノーマライゼーション推進に動き出したと思われた。
 だが実態は、中高年者を締め出すリストラクチャリングが蔓延し、障害者雇用率は法定雇用率1.8%に及ばない1.49%に留まっている(平成17年6月現在、平成17年12月厚生労働省発表)。
 世界に例を見ない急速なスピードで進んでいる日本の少子高齢社会、2005年10月時点で高齢化率は20%を超し、2005年の合計特殊出生率が1.25になったと今年(2006年)6月1日に厚生労働省は発表している。
 まさに、日本の生産年齢人口減少の危機であり、社会の活力は新たな視点からの創造が求められているはずである。65歳定年制や高齢者雇用、障害者雇用の促進が必須の社会状況ではないか。さらに、若年層の就業率の促進と定着も大きな課題である。
 元気で若い人たちが社会の中心であり、産業の担い手であった時代は終焉を迎えようとしているはずなのに、企業の人口構成は依然として元気で若い人に頼り、人々の価値観もなかなかその常識から抜け出せないでいるように思われる。
 長い歴史の中で培われた日本人の同一性を好む感覚は、理論や知識だけではなかなか変えられない。そこで、さまざまな年齢、職業、身体特性、価値観などを持った人たちが、誰もがちょっと不便なユニバーサルキャンプを体験することで、多様性を当たり前とするノーマライゼーションの価値観になじんでいくきっかけづくりのひとつになるのではないかと考え、「ユニバーサルキャンプin八丈島」を毎年実施することにした。

2.ダイバーシティ・コミュニケーションを体験するユニバーサルキャンプ

2−1 ユニバーサルキャンプin八丈島の目的

 ユニバーサルキャンプは、“障害はすべての人に関係する”というWHOの障害の概念に言うまでもなく、また、「もし私が、私が使える言語(日本語だけだが)が通じない国で暮らさなければならないとする。するとそこで私は、リテラシー(読み書き能力・識字率)障害を来すわけだから、その国では障害者の烙印を押されることになる。〜中略〜。つまり、日本語の通じる国であれば私は障害者ではない。したがって、私を障害者だと規定するのは、社会の側なのである」*1)と井上由美子氏がいうように、障がいを特別なことと考えない、環境や状況が障がい、すなわち不便さや困難さを生み出しているのである、という事実に気づいてほしいという願いから出発した。
 豊かな自然の中で、キャンプという日常生活より少し不便な環境を味わいながら、さまざまな特性を持つ仲間たちと過ごす。そこでは、日常豊かに整備された環境の中で仕事をしていたり、生活をしている多くの障害者手帳を持っていない人たちの中に、単純な生活動作や活動が困難になったり、できなかったりする人たちが続出する。一方、普段からさまざまな不便さを日常としている障害者手帳保持者の中には、野外活動やキャンプ生活に親しんで、一人でテントを張ったり、火をおこして料理をするのが得意だったりする人もいる。また、急な坂道では若い人に追いつけない高年齢者も、野外生活の思わぬ知恵と技術を有していたり、海に入れば海底から多くの収穫物を持ってきたりと、都市生活や仕事の現場では見えなかった能力を発揮する。
 障がいは特別のことではなく、ある環境下において、より不便さや困難さを伴う人を総じて障がい者というのであり、障がいを持たない人となんら特別に違うわけではない、ということを実際の体験の中から獲得していくことを目的として計画した。
注1)井上由美子『バリアフリー』34〜35頁 1998年

2−2 第1回ユニバーサルキャンプin八丈島の概要

日程:2005年9月10日(土)から12日(月)までの2泊3日(ただしキャンプ準備隊は前泊2日、後泊1日の計5泊6日)
場所:東京都八丈島八丈町の底土町営キャンプ場を拠点として、島内各所。八丈町観光課の後援を受けて、多くの町の人たちの協力をいただく。
参加者:総勢109人の参加を得て実施。参加者の人員構成は、九州、富山、長野など東京周辺以外の地域からの参加者を含め85人が島外参加者、八丈町の地域作業所ちょんこめ作業所から24人。参加者のうち障がい者は、島外参加者11人、島内参加者約15人。精神的に困難さを抱えているニート(NPOニュースタート所属)のメンバーが10人。手話通訳者3人。60歳以上が5人(島内参加者を含めると約10人程度)。
 こうしたさまざまな特性を持つ仲間たちと過ごすことによって、お互いに対等な関係で協力しながらサポートしあうという経験を通して、一人ひとりが尊厳をもちながら自立・自律をめざすとともに、その輪を広げていきたいと考えて実行した。
 台風シーズンのさなかの9月上旬、210日。八丈島は雲ひとつない晴天。キャンプ場に到着するとそれぞれのグループと所属人名が掲示板に貼ってある。初めて会う顔、顔、顔。照れ臭そうにしていたのもほんの一瞬で、開村式のあと全員でテントを張る。手話付きでテントの張り方の説明を聞いた後、グループに分かれて自分たちのテントを張る。車いすの仲間の指導で張るグループやなかなかテントが立たないグループ、あっという間ににぎやかに打ち解けていた。

2−3 プログラムの概要とその効果

 プログラムは、折々に「手話コーラス」などを楽しみながら、「カレーでコラボ〜やさしさカレー、うまうま大会〜」「海辺で“語り”を聴く会」「八丈スターウォッチング」「ダイバーシティ・コミュニケーション」「キャンプファイヤー」「ユニバーサルスポーツ」等々。少しずつコミュニケーションが深まり、互いの特性の違いを理解し合っていった。知恵と工夫でみんなが一緒に楽しめるスポーツのルールづくりをし、そのプレゼンテーションを気づきの終着点と考えて実施した。

2−3−1 ダイバーシティ・コミュニケーション
ダイバーシティ・コミュニケーションプログラムが書かれたホワイトボードの写真。各部屋の主人名一覧が書かれている。

 メインプログラムは、2日目の「ダイバーシティ・コミュニケーション」。太平洋を前面に、一面芝生の大潟浦で、タープテントを4箇所に張って、「音の部屋」「光の部屋」「動きの部屋」「関わりの部屋」を設置。その部屋の主人は、聴覚障がい者、視覚障がい者、車いす使用者、そして障害者手帳は持っていないが多様性のある異年齢の人たち。
 互いの違いを知り、その能力に驚き、不便さとは何かを知る。普段聞きたくても聞けない不思議やなぜを、部屋の主人から思い切って聞いてしまいましょうと、20分ごとに部屋を移動しながら、部屋の主人たちも他の部屋を訪れることができるよう工夫したプログラム。
 「音の部屋」では、「手話ができないからといってコミュニケーションを諦めないで」とホワイトボードと身振り手振り、口の動きでコミュニケーション。手話通訳者は、あえて手話をしないでそばでそっと見守っていた。この部屋の客人たちも自分の考えや疑問を一生懸命伝えようとボードを使ったり、身振りや表情で工夫をしていた。また、この部屋の2人の主人は、一人はろう者(生まれながらに聞こえない)でもう一人は中途失聴者。ろうのM氏は読話(口の動きを読み取る)が得意なので、部屋の客人の口の動きを読んで、中途失聴者のK氏に手話で伝えていた。一方、手話の通じない客人たちにろうのM氏が伝えたいことをK氏が手話で読み取って皆に話す、というそれぞれのできる方法をフルに活かしてその部屋でのコミュニケーションが活性化されていた。聴者は同じ聴覚障がい者でもその人の特性によっていろいろ違うんだ、ということをより深く体験できたのではないか。
 もう一組の主人たちは、客人全員を伝言ゲームで楽しませていた。聞こえても聞こえなくても、コミュニケーションは難しいということを楽しみながら体験できたようだ。

「音の部屋」の写真

 「光の部屋」では、「好きだった絵を、私はいま語りの世界で描いているんです」という語り部のA氏は、「心の中で聞き手が絵を描けるように語る、もちろん自分も心で絵を描きながら語っている」という。見えなくなったということは、すべてを失うことではない、とその不便さとたくましい挑戦の話を聴く。また、「駅の電話サービスが無くなったことがいかに視覚障がい者にとって不便か」ということを話してくれたS氏。その不便さに気づかずにいた部屋の聴き手は、思わずメモをとっていた。
 「動きの部屋」では、実はその不便さをどのように解決しているのか、不思議がいっぱいの車いす使用者が主人の部屋。「いいんですよ、どんなことでも遠慮なく聞いてください」という部屋の主人の言葉に促されて、まず恐る恐る「トイレはどうやってするんですか?」。主人はにこにこしながら「みんな違うんですよ、僕はこういう管を持っていて、時間を決めてトイレに行って導尿するんです。でも、普段から管をいれたまま足に袋をつけてその袋に尿を溜めておく人もいます。また、尿意がある人は、トイレに行って普通にする人もいます。障がいの程度や生活上のその人のより自由度の高い方法をそれぞれ選んでいます」
 「みんなお酒が強いみたいですが、酔っぱらったらどうなるんですか?」「障がいを持つ前とあまり変わらないですよ、でも気がついたら天を見ていた、なんてこともあります。バランス崩してひっくり返っちゃうんです」「蚊に刺されてもかゆくないんですか」などなど、いままで聞けなかった、素朴な疑問が飛び交う。
 「関わりの部屋」では、障害者手帳は持っていないが、生きていくうえではやはりいろいろな不便さ困難さを持っている多くの人たちの部屋。ここの主人は高齢者、元気で若い人、働き盛りの40代、ニートと呼ばれる仲間たち。
 日ごろから違和感を抱いている「健常者と障害者」という区別や言い方が、いかにステレオタイプな見方であり、障がいの普遍化からほど遠い言い方であるかを実感して欲しくて行ったこのダイバーシティ・コミュニケーションの要の部屋である。障がいは誰にでもある。前出の井上氏の言葉を借りれば、「障がい者という立場は環境から規定される」のであるなら、まさにその環境で不便なこと、困難なことがある、ということを語っているうちに、または聴いているうちに、そうか自分にも障がいと感じることはあるな、不便さを感じているけれどその感覚がマヒしているかも知れない。などと気づいて欲しい部屋である。
 気持ちは昔と変わらないのに、身体が思うようについてこないもどかしさと寂しさを、そしてそのことを言われて深く傷つく自分を語る高齢者。仕事目いっぱい、まだまだやりたいが家庭は、子供は、上司やメンバーへの配慮は、と知らず知らずにストレスを溜めている40代。本当は仕事に就きたいんだけど……とその心中を語るニート支援施設の仲間たち。
 100名いれば100の特性がある、100の方法がある、100の感じ方があることを体感できたダイバーシティ・コミュニケーションは、このキャンプの中でもっとも参加者が感動した、気づきが多かったというプログラムであり、企画実施者としては、このためにユニバーサルキャンプを行ったと言っても過言ではないプログラムである。

2−3−2 キャンプファイアー

 その夜は、上弦の月の下でのキャンプファイアー。総勢110人くらいの仲間たちとの火を囲んでのイベントは、実はバリアだらけ。真ん中の勢いよく燃える火だけが明かり。聞こえない仲間は手話が見えない、見えない仲間は、自分の位置がわからない、車いすは周りの人が気づかす危険。こうした中、楽しいゲームが続く。どうしたら良いか? 始まりと同時にざわめく会場。しかし、すぐにあちこちでそれぞれの仲間たちが工夫を始めた。通訳者には懐中電灯の光を、手をつなぎながら状況説明をしている視覚障がいの人とその仲間、周りのスペースを配慮している車いす使用者のそばの人たち。聴覚障がい者と聴者のダンスが飛び入りで披露されたり、自然とユニバーサルイベントになっていたキャンプファイアー。昼間のダイバーシティ・コミュニケーションの効果はてきめんであった。

2−3−3 ユニバーサルスポーツ
ユニバーサルスポーツの発表風景の写真

 一夜明けて、最終日はユニバーサルスポーツ。年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、人は一人ひとりさまざまな異なった特性を持っているという、ダイバーシティを受け入れる重要性に気づきを深めた参加者が、その感性をスポーツのルールづくりで披露するプログラムである。
 ユニバーサルスポーツとは、そこに参加している誰もが一緒に楽しむことができるスポーツをいう。特にユニバーサルスポーツというある限定されたスポーツがあるというのではなく、どのようなスポーツでも、そこにいる皆が参加できるよう、その時々でスポーツのルールを変更したりしてその場に合わせたスポーツを創造することでもある。
 第1回目のキャンプでは、スピードボールという既存のスポーツを用いて実施。各グループごとに、自分たちの仲間全員が楽しく参加できるルールを作りプレゼンテーションするという趣向で行った。始めに本来のスピードボールの楽しみ方とルールを説明した後、グループに分かれて練習と新たなルールづくりを行う。参加者の2割近くが身体的に不便さを持っている状況で、各グループの参加者の特性に合わせてルールづくりの知恵を絞る。8つのグループが、プレゼンテーションではそれぞれ違うルールを披露できた。その創意工夫は楽しくそれぞれの特性を活かしていて、このユニバーサルキャンプが多くの体験と気づきをもたらしたことを証明してくれたと実感し、感動した。

3.ユニバーサルキャンプに期待する今後の方向性

3−1 超少子高齢社会の活力維持にとってかかせないユニバーサル環境の視点

 生産年齢人口の減少と高齢者の急増という現実を前にして、どう社会の活力を維持するかの答えのひとつは、自明のごとく生産年齢の枠を広げることである。すでに国の施策が示す通りその解決策として、年金受給の年齢を後方にずらすことや高齢者雇用の促進、障害者雇用の促進、自立支援、女性活力の支援などが模索されつつ実施されている。これらの視点自体は当然のことと見られるが、その実施においての配慮の視点が十分とはいえないのが現状ではないかと考える。生産年齢人口を中心とした社会構造を大きく転換すると同時に、社会的価値観の転換を促す施策が十分ではないのではないかと感じている。
 筆者は、少子高齢社会の価値観にとってかかせない視点としてユニバーサル環境を挙げている。すなわち、ノーマライゼーション、ジェンダーフリー、バリアフリー、エコロジーという現代社会に欠かせない価値観を、すべての社会的施策や企業の理念、行動基準に据え置いて、新たな“こと”を起こすときはまずこの4点が十分に考えられているか、を考察してから実施に移すことが必然ではないかと考える。
 その時の切り口の視点として、またチェックの視点として、ダイバーシティが十分に考慮されているか、ユニバーサルデザインの配慮がなされているか、という観点が重要になってくると考えている。

 

ユニバーサル環境のコンセプト

ユニバーサル環境のコンセプト図

3−2 ダイバーシティを体得する場として継続

 

 そこで、ではどうしたらダイバーシティを当たり前として、ユニバーサルデザインを促進するかが問題になってくる。いま、ユニバーサルデザインはISOの基準になり、JIS規格にもなって多くの企業で取り入れられ、商品開発の基準になりつつある。また、その前提としてダイバーシティへの配慮もされ始めている。
 しかし、本当にダイバーシティを受容することや不便さを抱えながら社会参加し、生産性を担おうとしている多くの人たちのことを理解したうえで、開発や施策づくりを行っているのだろうか。せっかく誰もが暮らしやすい社会づくりや商品づくり、サービスシステムづくりをしても、不便さを抱えるユーザーの真の姿を理解しないまま投資をするのは大変もったいないことである。
 とはいえ、実際にはなかなか多様な人たちと一緒に時を過ごすチャンスは少ないのが現状である。ならば、あえてそうした場をつくって、ダイバーシティを実感し、本当にどんな人がどんな不便さを感じているのか、また、できないだろうと思っていたことは本当はできることが多い、などという実感を体得できる場を提供し、よりよいユニバーサル環境づくりをしていただきたいと考えたのが、ユニバーサルキャンプin八丈島である。

3−3 地域活性化としてのキャンプの効用と意義

 第2回ユニバーサルキャンプin八丈島を実施すべく、現在準備は進行中である。昨年の成果を踏まえて、実施地である八丈島は、今年(2006年)は共催としての参加となった(昨年は後援)。八丈町の毎年のイベントとしてこのキャンプの位置づけを決定してくれた。
 このキャンプが毎年やって来ることは、町民の減少、超高齢化(高齢化率約28.2%、2005年現在)、観光客の減少などの課題を抱える町としての活性化へのひとつの切り口と考えることができるのではないか。多くの障がい者が楽しそうに活動しているキャンプ。しかし、昨年はそのキャンプ場に車いすで使えるトイレはなかった。今年はユニバーサルトイレを設置するよう考えているという。観光地として必須のホテルや民宿のバリアフリーへの取り組みも現在進行中である。
 もちろん、これらのことがすべてキャンプを実施したために起こったことではないが、その勢いを加速する役割は果たしていると考えられる。地域としてのグリーンツーリズムとしてもこのキャンプを活用することは意味のあることではないだろうか。

3−4 商品やサービスシステムの開発視点獲得としてのキャンプの効用

 多くの企業が、最近ではユニバーサルデザイン室を設けている。できるだけ多くの人に使いやすい商品やサービスを開発することが業績アップの必須要件であることは、すでに多くの例に見られることである。しかし、企業の中でダイバーシティを考えユニバーサルデザインへの発想や工夫を考えても、それが商品として評価をもって受け入れられない場合が多いのも事実である。
 何がユーザーに好まれないのか。企業では高齢者や障がい者のモニタリングなども積極的にしている。しかし、開発者自身がじかに何人の不便さを感じている人と一緒に活動しているだろうか。やはり、データからの情報だけでなく、実際に自分自身で体験し感じ取ったことが、真にユーザーの求めているものづくりやサービスに反映されてこそ、価値ある開発ができるはずだ。
 そのための体験の場としてのユニバーサルキャンプは、企業にとってはまたとない研修の場になるのではないか。実際に昨年参加した開発担当の人たちは、新しい視点を獲得して帰ったという。このキャンプは、企業のシステムづくりや商品・サービスの開発づくりにとっての格好の研修イベントとなっていくと考えている。

3−5 障がい当事者としてのキャンプの活用

 1993年の障害者基本法から、簡単に極言してしまえば「できないからやってもらう」から「できることは自分でして、できないこともできるような環境を整備して自立をめざしていこう」という方向に施策が変わったといえる。そのため国も障害者雇用を義務化したり、交通バリアフリー法を施行したりしている。
 こうした状況の中、当然、障がい者自身も意識改革していく必要がある。障害者年金の受給を受けながら、社会参加を遠慮する必要はない。もちろん年金をもらうことは構わないが、それだけでなく、自分のしたいことをするための努力や挑戦を大いにして欲しいと考える。障がい者自身ももっと社会参加しよう、さらに社会参加するための努力もしようと呼びかけて活動している障がい当事者たちも多い。前回参加してくれた障がい者のほとんどがそうした努力をしている人たちで、さらに声を大にして社会参加を呼びかける活動をしている人もいる。
 障害者手帳を持っていない人たちと、対等な関係で活動し、自分たちの不便さをもっと具体的に理解してもらいたい。まだ社会参加をためらっている障がい者が、自分たちの活動を見て勇気を持って挑戦する気になって欲しい、と考え参加をしてくれている。障がい者にとっても、このキャンプを理解促進と社会参加への場としてさらに活用していって欲しいと考えている。

4.おわりに

「ユニバーサルキャンプin八丈島」の実施は、今後少なくとも5年は継続し、その後は海外の仲間も巻き込んで、ダイバーシティの理解とユニバーサル環境を考える実験イベントとして継承していく考えである。ユニバーサルキャンプin八丈島は、じつに多くの方達のご協力のもとに実施可能となった。今後も、さらに多くの八丈島の町民の方々や行政や企業の方々、NPOやボランティア活動を推進している方々、障がいを持った方々をはじめ様々な特性を持つ人たちとコラボレーションしながら、ユニバーサルキャンプを推進し、誰もが活き活き活動できる社会を推進する一助になりたいと願っている。

参考文献

井上由美子 1996 『バリアフリー』 中央法規 34-35
内山早苗監修 2002 『ユニバーサルスポーツ・コーディネーター養成講座』 UDジャパン
厚生労働省障害者雇用対策課資料 2005 「障害者雇用率」 厚生労働省
国立社会保障・人口問題研究所 2005 「人口高齢化の動向とその要因」
八丈町企画財政課 2005 「八丈町要覧」 東京都八丈町