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「女性に深夜残業や休日出勤を任せられますか?」 (月刊総務の連載 2003年2月号)
「職場で誰か一人が残業(休日出勤)しなければならないときは、男性が行うべきだと思う」というアンケートに、あなたは“はい”と答えますか、それとも“いいえ”でしょうか。
この質問は、筆者が研修などで行うジェンダー・フリー度60の質問のひとつです。多くの管理職の方が“はい”と答えています。この“はい”を私は「男性の間違ったやさしさ」であり「女性の甘え」と考えています。
ジェンダー・フリーは当たり前
ジェンダーとは、生物学的な性差ではなく、社会的・文化的につくりあげられた「女らしさ」「男らしさ」をいいます。「男は一家の大黒柱」「家事は女性の仕事」など。こうしたジェンダーに囚われて男女が固定的な役割分業に縛られることなく、自分の望む生き方や仕事ができる社会をジェンダー・フリーな社会といいます。誰もが活き活き暮らせるノーマライゼーションの社会では、ジェンダー・フリーは当たり前のことです。
均等法ではジェンダーハラスメントも罰則規定
1999年に改正された「改正男女雇用機会均等法」では、セクシュアルハラスメントに罰則規定が設けられました。この法律でいうセクシュアルハラスメントには、当然ジェンダーハラスメントも含まれているのです。職場で女性だからという理由で、基幹業務につけなかったり、上司が昇格を見送ったりすることもセクシュアルハラスメントとして罰せられるのです。「えっ、変なこと言ったり、触ったりしてないよ」と言い、自分はセクシュアルハラスメントには関係ないと思っている管理職の方も、「女性は早く帰らないと、門限があるだろう」などとやさしく声をかけたりして、訴えられるかもしれないのです。
なぜ、間違ったやさしさなのか
「女性は早く帰らなければいけない」、こうした考え方がなぜジェンダーハラスメントになるのか。先のアンケートの“はい”と同様、「女性は夜遅くまで外出しないものだ」「女性を最後に残すなんて男のすることではない」と考えることも一因でしょう。
こうした考え方は、長い歴史的慣習になっていました。社会的・文化的につくられた慣習、ジェンダーです。確かに夜道は危ないことが多いし、ビルに女性一人が残るのは防犯上の危険もあります。大概の大人は、こうした理由から女性の深夜に及ぶ残業や一人の休日出勤をためらいます。(危険は男性にもある。でも男性は強いのだから多少の危険は顧みないものだ、というジェンダーもある)
こうした考え方が実は女性の社会的地位を男性と同等にすることの障がいになっているのです。特に、企業の中で基幹業務や会社の命運を賭けるようなプロジェクトへの参加を阻んでしまうのです。大きなプロジェクトや会社の命運を賭けるような仕事には、夜も寝ずに目標に向けて走り続けなければ達成できない時期があります。そんなとき女性だから早く帰るなどと言っていては、職責を果たせないのです。
重要な仕事の役割を決定する役員や上司が、女性には深夜まで仕事をさせられない、などと考えていると、当然のこととしてそうした仕事の責任者や重要な役割は男性に振ってしまうのです。
男女共同参画社会は、男性も女性もともに責任を果たしていくことが当然の社会です。女性にも男性同様、積極的に重要な職責を果たさせることが管理者には求められているのです。同時に、そのための環境整備も考えていく必要があります。




