株式会社ユーディージャパン

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「古い慣習を打破し、新しい価値観を持つ」 (月刊総務の連載 2003年3月号)

 「男女差を少なくするために、女性の役職者を増やすべきである。」と言われたら、あなたはどう感じるでしょうか。
 それは逆差別じゃないか、役職者は男女に関わらず、その能力で決めるべきだ!と思ってしまいますよね。でも、改正男女雇用機会均等法では、「『女性』のみ措置に関する特例」(均等法第9条)で「その役職の男女の比率が4割を下回る場合」には、男性社員と比較して女性社員に有利な取扱いをすることを奨励しています。
 なぜ、女性を優遇する措置が、均等法の条文にもりこまれているのでしょうか。

今まで平等に機会を与えられていなかった

 多くの企業で、新入社員研修は男女全員が受けてきていました。しかし、その後の階層別研修やスキルアップ研修は、次第に男性が中心になってきていたのではないでしょうか。また、職場のOJTでも、男性には厳しく指導している先輩や上司も、女性には男性ほどのレベルを要求しない代わりに指導もしないという現状がなかったでしょうか。
 こうした職場の環境が、同じ力量で入社した男女の成長の格差に現れてきているのです。「入社時研修のグループワークでリーダーになるのは女性が多いが、一年後のフォローアップ研修になると、リーダーはほとんど男性になってしまう」と講師たちは言います。

必要な女性のエンパワーメント

 改正均等法で、教育の機会は男女平等にしなければならないことになったことは衆知のことですが、さらに「企業に入ってから、男性に比べて教育や訓練、仕事を任される機会が少なかったから、女性の能力が発揮されていない」という現実を考慮して、改正均等法では「『女性』のみ措置に関する特例」や「ポジティブ・アクション」(均等法第20条)が加えられました。そして、男女間に事実上生じた格差解消を目指し、その職種や役職の男女の比率が4割を下回る場合には、教育訓練の対象を女性のみにしたり、女性に有利な取扱いをすることを認め、積極的かつ自主的な取り組みを行うことを明記しています。そのための具体的な取り組み計画を国が相談・援助する制度まで組み込まれているのです。
 女性のまだ発揮されていない能力を引き出す、すなわちエンパワーメントすることが企業に求められているのです。

His storyからOur storyへ

 考えてみれば太古の昔から男女の役割分業はあり、歴史の中心は男性社会の出来事とされてきたのではないでしょうか。その証拠に、歴史は英語でHistoryと書きます。その語源はHis story=彼の物語だそうです。もともと男性が中心の社会が有史以来続いてきたのです。極端に言えば、ジェンダーは遺伝子に組み込まれた感覚かもしれません。
 その長い慣習が、20世紀後半から少しずつ修正され、今では世界的に「すべての人は等しく人としての尊厳があり、対等な関係である」ことが当然というノーマライゼーションが当たり前の価値観になってきました。
 ただ、遺伝子に組み込まれてしまうほど長い間、男性中心の価値観が当たり前だったことから考えて、ジェンダー・フリーやノーマライゼーションの価値観を持つためには、改めてこうした事実に気づき、自分の考え方や行動を変容していくという認識が必要です。自然に身につく価値観ではなく、考え逡巡し、学び、行動に表して、はじめて自分のものになっていく価値観です。誰もが対等であるノーマライゼーションの価値観を持つことは、21世紀の社会人の当然の教養ではないでしょうか。そのための視点の持ち方を次号で考えてみたいと思います。