株式会社ユーディージャパン

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「ユニバーサルデザインが活性化を担う」 (月刊総務の連載 2003年5月号)

 「均等法が改正されて女性の24時間就業が可能になる」、こんな情報から工場改革を行った企業がありました。均等法が改正される前年の話です。
 工場の男女比率がアンバランスなのは、女性が深夜勤務できないという法的な壁が、大きな原因のひとつでした。
 「女性が24時間シフトの現場に参加できる」、均等法の改正をその企業はチャンスと捉えて、積極的に女性の活用を図ろうと準備をした結果、思わぬ大きな成果を上げたのでした。
 少子高齢社会が急速に進むと、現場で働く若い人材が不足してきます。そうした近い将来を見据えて不安を抱く経営者や管理者は多いと思います。将来の働き手の減少を心配して、女性の活用に積極的な企業が増えているようにも感じます。人材が不足するという問題を課題と捉えて、解決策を戦略的に考える、ということはよくあることです。しかし、そこでどう考えるか、その視点の持ち方で成果が大きく分かれるのではないでしょうか。

課題と捉え、問題を照射する

 その企業は、単に女性の深夜勤務を当然と考えず、いかに女性が働きやすい職場にするか、という視点で考えたようです。そして女性の立場で工場の問題を照射してみたのではないかと思います。今まで当たり前と思っていたラインの作業を、多くの場合女性は男性より背が小さい、手が短い、そのための不便さはなんだろうと考えたのでしょう。
 改革のポイントは、

  1. 上につるしてあったモニターを、目線と同じ高さの作業台に下ろす。
    (その結果、首や肩の疲れが減少する)
  2. 組みつけの部品を、手を伸ばさなくても届くように作業台の手前に置く。
    (その結果、腰や腕の疲れが減少する)
  3. 手元の部品がなくなったときの補充部品の置き場を、背の高さで(脚立に立ったりしないで)とれるよう、スライド式の棚に変えた。
    (その結果、部品を探す時間が減り、無理な姿勢による疲労が減少する)

 半年後、実はまだ女性が24時間シフトに入る前に、その結果は大きな成果として現れたのでした。その成果は、1)肩凝りや腰痛などを感じる人が激減し、2)作業ミスが半減し、3)生産性が一割以上増えたということです。
 すなわち、女性にやさしい工場改革が、実は男性にとっても大変有効な改革だったわけです。

ユニバーサルデザインが活性化を担う

 この結果は、工場のユニバーサルデザイン化につながったことになります。ユニバーサルデザインとは、元気な男性だけでなく、女性や高齢者、子ども、身体に何らかの不自由さのある人など、さまざまな特性のあるできるだけ多く人たちが、使いやすいものや空間、建物、サービスをデザインするという考え方です。
 この工場の場合、ユニバーサルデザインの工場をつくろうとしたわけではなく、女性が働きやすい工場をめざしたはずです。しかし、それは結果として元気な男性にも働きやすい工場になりました。
 生産性を上げることに苦心している企業にとって、一割の生産性アップは大変貴重なものだということは想像できます。その企業は=松下電器産業さんは、その成果を踏まえてさらに熟年工場の準備を始めたということです。
 元気で若い男性だけが社会を担っていくのは大変なことです。女性をはじめさまざまな人たちが一緒に生産性を担ってこそ、少子高齢社会での活力が生まれるのではないでしょうか。そのための問題を照射してみませんか。