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「言葉の持つ意味に敏感になろう」(月刊総務の連載 2003年8月号)
言葉の持つジェンダー
「いらっしゃいませ、いつもありがとうございます」
「きょうは三人なの、よろしくお願いします」
「かしこまりました。ご主人さまお元気でいらっしゃいますか。このところお見えにならないので……」
「ええ、主人がこられないからしもべがおじゃましました」
「……えっ、奥さまは社長じゃないですか、しもべなんて、そんなつもりでは……私、失礼なこと申しあげたのでしょうか」
あわてるマスターに、みな思わず笑ってしまいました。
言葉は、その土地や国の文化や習慣によって作られる、といわれます。そのため語学を習得するには、その国の文化を理解しなければならない、ということは、いわば当たり前のこととして知られています。
ということは、文化や常識が変われば、言葉や文字も変わってきて当たり前。とくに漢字は、それぞれ偏(へん)や旁(つくり)に意味があります。
先の、「ご主人さまお元気でいらっしゃいますか」は、マスターの親しみを込めたあいさつだったのですが、「ご主人」ですら抵抗があるのに、さらに「さま」をつけられると、ほんとうにしもべのような気分になってしまいます。
「夫婦は対等な関係で、主従の関係ではない」ということは、誰もが認めることと思います。ご主人という呼称は、お店のマスターやショップの責任者の呼称にはなりますが、夫婦関係の呼称にはふさわしくないのではないでしょうか。しかし、長い間、一家の大黒柱は家長=その家の主人で、妻は主人の意向に従ってそのうしろで支えるという役割分担が、慣習となっていました。そうした文化では、夫は主人でした。そしてご主人、奥さまは敬称とされていました。
言葉からの意識変革
いま、「ノーマライゼーション=すべての人が尊厳を持った対等な関係である」という価値観のもと、言葉もさまざまに変化してきています。とくに、1999年に改正男女雇用機会均等法が施行されたから、役割分業的な職業に対する用語は、大幅に見直されてきました(看護婦が看護士、保母が保育士など)。
しかし、職業の名称だけでなく、日常生活で何気なく使っている言葉にも、ジェンダーのバイアスがかかっているものが多くあります。
かつての女性の一生を言葉で見ると、娘、嫁、姑、婆となります。女がよいのは娘で、結婚すると家に従う嫁になり、女が古くなると姑になって、波のように皺がよるとおばあさんになってしまいます。いい得て妙だと笑わないでください。こうした言葉の奥に潜むジェンダーバイアスに敏感になることが、企業のセクシュアルハラスメントやジェンダーハラスメント、さらには最近話題のパワーハラスメントなどの問題解決に役立つことになると思います。
昼休みや休憩時間に、「いわれて嫌な言葉」を出し合ってみませんか。その中には、きっといままで無意識に使っていた、ハラスメントにつながる言葉があるはずです。ジェンダーに敏感な視点を持つきっかけになるでしょう。




