株式会社ユーディージャパン

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「些細なことから見えるジェンダーな風土」(月刊総務の連載 2003年9月号)

商談に訪れる人はスーツの男性だけ?

 東京再開発地域のひとつである新しいオフィス街に移転したある大手メーカーに、先日伺いました。総合受付で入館証を受け取って、「えっ!」と戸惑ってしまいました。
 その入館証は、パーティなどで時々渡される名札にも使われることがある、胸ポケットに差し込み式の「お客様カード」でした。
 スーツは着ているけれど、胸ポケットがない私は、その入館証を身につけることができないまま、バッグと一緒に手に持って、訪問先のクライアントのオフィスに向かいました。
 企業で仕事をするための制服ともいえる男性のスーツ。スーツさえ着ていれば安心、と感じることは、同時にスーツを着ない人たちを企業人ではない、または組織に属さない人と感じてしまいがちです。
 ビジネスに携わる人は、スーツを着た人たち。スーツのポケットにしか入らない入館証を、何の疑いもなく受付に備えてしまう感性の方たちは、おそらく無意識にそう思っているのではないかと疑ってしまいました。
 しかし、IT やデザインなどソフト開発を担うクリエーターや女性は、深い胸ポケットのあるスーツをあまり着ていません。身体に障がいのある人も動作性からそうしたスーツを好まない人がいます。
 深い胸ポケット付きスーツを着るのが当たり前、と感じる人たちは、もしかしたらそれ以外の人は対等に仕事をする人たちではない、とどこか心の隅で感じていないでしょうか。そうした感性が、女性を一人の対等な関係の個人としてでなく、セクシュアルな対象として見てしまい、自分でも気づかぬうちにうっかり女性が不快に感じる言動を起こしてしまうのではないでしょうか。

敏感な感性を培おう

 均等法が改正されてはや4 年たちますが、相変わらず職場のセクシュアルハラスメントが減少していないと言われています。2002 年度の東京労働局均等法関連の相談内容の63.1 %がセクシュアルハラスメントに関することだそうです。6月26日の日本経済新聞によると、セクハラの被害者は派遣やパート、アルバイトなど身分が不安定な非正社員が多くなっているそうです。
 だれもが身分や性別、年齢、身体的条件などに関わらず人として尊厳のある対等な関係であるというノーマライゼーションの感性を身に付ける必要性を強く感じます。そのためにも、システムや些細な物事の決定にも、常に様々な特性を持つ人たち(女性・高齢者・子供・障がいのある人など)も使えるか、サービスが受けられるか、という視点でチェックしてみる習慣を付けることが大切です。